糖尿病を自宅で管理 たちかわ犬猫病院 猫の病院

犬猫の糖尿病を自宅で管理する

1.シリンジ

2.血糖値を自宅で測定する


2.血糖値の測定

 

不安定糖尿病

 糖尿病を治療している時,慢性の膀胱炎や歯周病などが悪化すると血糖値が不安定となります.特に猫は,外見上はいつもと同じで,良好にコントロールされているように見えても,一日の中で血糖値が激しく動いています.

 

多食,多飲,多尿

 多食,多飲,多尿は,糖尿病の代表的な症状ですが,糖尿病治療中でも血糖値が不安定になると症状があらわれることがあります.元気があるか,尿の量,飲み水の量,食事の量に変化がないかを見る事がとても大事です.

 

低血糖性の昏睡,糖尿病性ケトアシドーシス

 糖尿病治療中でも,血糖値が不安定だと,血糖値が下がり過ぎて,元気がなくなり,ひどいばあいは昏睡してしまいます.また,インスリンを注射しているにもかかわらず,インスリンの効果が出ず,高血糖状態が続き,昏睡におちいることもあります.低血糖なら糖を補給しなければならないし,高血糖なら血糖値を下げる治療をしなければなりません.

 

急に昏睡になるわけではない

 糖尿病治療中に昏睡が見られた場合,病院では血糖値を正しく測定し,低血糖,高血糖,脱水,昏睡などに対する治療ができます.いきなり昏睡になるわけではなく,数日前から血糖値の不安定はあったはずですが.犬猫は外見上,なかなか初期の状態の変化を見つける事は困難で,特に猫は状態が安定していても,糖尿病性ケトアシドーシスを発症します.

 

自宅で血糖を測る

 自宅で血糖を測る事が出来れば,病状が悪化する前に血糖値の不安定を見つけ,大事に至る前に対処することができます.人は,自宅で血糖値を測るための測定器が薬局で販売されていますが,犬猫には国内での販売はありません.仕方なく,犬猫に人用の測定器を使用しますが,正常な血糖値であっても誤った血糖値が表示されてしまいます.基本的に,真の値よりも低値で表示されるようですが,ご家族が混乱してしまいます.

 

犬猫専用の血糖測定器

 当院では犬猫専用の血糖測定器を使用して,自宅で血糖値を測定することもお手伝いしています.国内では販売されていないので海外から取り寄せなければなりません.この血糖測定器があれば自宅で血糖値を測定できるので,例えば,犬猫が下痢をしているとか,吐いているとか,食欲が不安定な時に,血糖値が不安定で調子が悪いのか,インスリンの量を増やしていいのか,減らしていいのか,という判断ができるようになります.

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 写真は,病院の検査器械で測定した猫のデータが背景の紙に印刷されています.検査は血清を使用しています.血糖値Glu 115 mg/dlとあります.正常範囲は74-159なので,正常です.血清と血液に含まれる血糖の量は違います.簡易血糖検査器械は,全血を使用するため,補正が必要となります.補正の仕方は,人,犬,猫でそれぞれ違います.左は犬猫専用器械で猫に設定しています.多少の誤差はありますが,今回はぴったり同じ値です.右の器械は人の器械であるため,63 mg/dlと低血糖の結果が表示されてしまっています.

(2014.3.29 犬猫の糖尿病の病院 太刀川史郎)


© 太刀川 史郎 2013