犬猫の糖尿病を自宅で管理する
1.シリンジ
1.シリンジ
犬猫では30単位(30目盛り)用のシリンジを使う
インスリンを投与するためには注射器が必要です.インスリンの投与量は1単位,2単位と表現し,シリンジの1目盛りが1単位です.人は体が大きいので100単位(100目盛り)用のシリンジを使いますが,犬猫は30単位(30目盛り)用のシリンジを使います.
インスリンの量
通常,犬猫の糖尿病では1-5単位/1日2回の注射でコントロールできます.糖尿病は,血糖値を100-200mg/dlで安定させたいので,インスリンの量を増やしたり減らしたりして血糖値を調節します.ただ,猫や小型犬では1単位ちがうと低血糖になりすぎたり,逆に高血糖になりすぎたりしますので0.5単位での調節が必要になります.
日本のインスリンシリンジの目盛り
日本のインスリンシリンジの目盛りは1単位毎ですので,例えば1.5単位を投与したい場合は,1目盛りと2目盛りの,ちょうど中間ぐらいにインスリン量を調節します.では,1.75単位にしたい場合はどうでしょうか.無理だと思いませんか?これでは,毎回のインスリン量が違ってしまいます.ほんのわずかな違いなのですが,猫や小型犬にとっては大問題なのです.
プードルのポポちゃんにインスリンを1単位で投与した場合の血糖曲線
朝9時半頃にゴハンを食べて,インスリン(ランタス)を投与すると,2-3時間後に低血糖になってしまいます.低血糖は,けいれん,意識消失など,命に関わる状態です.そこでインスリン投与後2-3時間で軽食を食べています.
プードルのポポちゃんにインスリンを0.75単位で投与した場合の血糖曲線
朝9時半頃にゴハンを食べて,インスリン(ランタス)を投与して,お昼頃に軽食をとるので夕方には高血糖になってしまいますが,低血糖になる心配はありません.0.5単位にすると,ずっと高血糖になってしまいます.
海外から取り寄せたインスリンシリンジ(当院ではお分けできません.個人で輸入してください)
海外のインスリンシリンジの目盛りは0.5単位毎なので,ポポちゃんのように0.75単位でも比較的安定したインスリン量を注射する事が出来ます.当院では,猫や小型犬など微量な血糖コントロールにこのシリンジを使用して,良好な血糖コントロールに役立っています.
(2014.3.17 犬猫の糖尿病の病院 太刀川史郎)