たちかわ動物病院・皮膚科 身体の皮膚炎


2.身体に主な症状がある。


2-1.身体の脱毛

脱毛している事に気づいたら、まず最初に、毛が自然と抜け落ちているのか、あるいは掻いたりこすったりして、毛が抜けてしまったのかを調べなければなりません。毛を引っ張ってみて、簡単に抜けるようなら毛根に問題があるのです。毛根の主な病気はカビ、毛包炎、ニキビダニ、内分泌疾患などです。毛を引っ張っても簡単に抜けない場合は、掻く行為によって結果的に毛が抜けているか、毛の途中ですり切れているか、です。


2-1-1.部分的にちょっと脱毛している

毛をかき分けて皮膚をよく見てみましょう。ブツブツやカサカサはありませんか?ノミやダニのせいかもしれません(ノミ・ダニの項目へ)。細菌やカビのせいかもしれません。アレルギーの可能性もあります(アレルギーの項目へ)。皮膚は清潔にしていますか?シャンプーしたのはいつでしょう(シャンプーの項目へ)?あなたも髪の毛を何日も洗わないと頭が痒くなりますよね?動物も一緒なのです。何日もお風呂に入らないと体は痒くなります。と、ここでいきなりシャンプーしないでくださいね。シャンプーには低刺激なものから刺激の強いものまでたくさんあります。うちは薬用シャンプーだから大丈夫って?あぶない、あぶない。薬用ならなおさら、適応症というのがあります。まず動物病院で診察して、最適なシャンプーを選んでもらいましょう。すぐに病院に行けない場合は、低アレルギーの抗菌シャンプーが無難です。ノミがいる場合(ノミ・ダニの項目)、ノミ取りシャンプーは殺虫剤成分が含まれていますので、ノミは死にますが、皮膚炎がある場合、皮膚にはよくありません。まずはノミを殺して、皮膚病を治して、それからシャンプーです。


2-1-2.頸周囲の脱毛

首輪や胴輪をしていませんか?擦れているのかもしれません。首輪や胴輪の素材によるアレルギーかもしれません。首輪や胴輪は汚れていませんか?臭いをかいでみましょう。臭かったら、はずしてきれいなものに交換してあげましょう。ノミ取り首輪も原因になります。これも、はずしましょう。食べ物による何らかのアレルギーも考えられます。ここ1週間に食べたものをリストアップしてみましょう。最近、シャンプーしていませんか?首の内側はシャンプーのすすぎ不十分でよく皮膚病ができる所です。まさか、首輪をしたまま洗ってませんよね?頸の背中側の場合、ノミダニのせいかもしれません。ノミダニはいませんか(ノミダニの項目へ)?最近その辺に注射や薬を塗っていませんか?薬によるアレルギーかもしれません。


2-1-3.腰のあたりの脱毛

ブツブツはありませんか?一番多いのはノミアレルギーです。ノミを探しましょう(ノミの項目へ)。ノミはとてもすばやいので見つけるのは難しいでしょう。そのかわり、ノミがいたという証拠を見つけることができます。皮膚のかき分けて、付け根に黒いカスみたいのがありませんか。それはノミの糞です。皮膚は汚れていませんか?シャンプーしたのはいつでしょう。その辺は脂腺の密集地帯です。脂腺の炎症かもしれません。


2-1-4.下腹部を中心に脱毛

特に猫できれいに毛がなくなってしまうことがよくあります。かゆいと猫はしつこくグルーミングをして毛を全て舐め切ってしまいます。一番にアレルギーが考えられます。ノミはいませんか?食事はどうでしょう。安売りのペットフードや脂でギトギトの不健康そうな食事をとっていませんか?また、ストレスで異常にグルーミングをして毛を舐め切ってしまう猫もいます。多頭飼育だったり、他の猫にいじめられたりしていませんか?野良猫の発情の季節ではありませんか?近所がうるさいとか、家族の誰かが病気だったりしませんか?猫が妊娠時には赤ちゃんにオッパイを出すために下腹部を中心に毛が抜けますが、離乳すればすぐに毛が生えてきます。ホルモン性疾患,特に副腎皮質機能亢進症で下腹部が膨らんで,脱毛がみられることがあります。その場合,異様な食欲とたくさん水を飲むということに気付いているかもしれません。


2-1-5.全身の脱毛、あるいは全身性にまだらに脱毛している

ホルモン性疾患,感染症,寄生虫,自己免疫疾患,栄養性,アレルギー,中毒,内臓疾患など多くの病気が考えられます。病院で診察してもらいましょう。


2-1-6.トリミングや手術後に毛が生えてこない

トリミングや手術で毛を刈った後,なかなか毛が生えてこないことがあります。皮膚もだんだんと黒ずんできます。特にポメラニアンとその類縁種で多いのですが,ホルモンのバランスが悪いため毛が生えてきにくいようです。効果的な治療はありません。雄の場合,去勢手術で再び毛がはえてくることがあります。薬はホルモン剤を使いますが,副作用が強く出る場合があります。ほっておいても特に痒いわけでも,皮膚病でもないので定期的なホルモン検査をして,無治療で様子を見ます。自然と生えてくることもあります。外観上見栄えが悪ければ洋服を着せてお散歩に行くようにお話ししてます。


2-1-7.急にじゅくじゅくになった

皮膚が突然赤むくれになって,汁が出てじゅくじゅくして見た目にも痛そうになることがあります(急性皮膚表層性皮膚炎)。ノミが原因になることが多く,まず,傷を洗浄し炎症を抑えます。それから,ノミを徹底的に予防します。特に猫で好酸球潰瘍といって白血球の一種の好酸球が皮膚をとかしてしまう病気があります。原因は不明であることが多いのですが,食事やアトピー性皮膚炎が原因として考えられています。治療はステロイドを使用することが多く,時に外科的に切除します。

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© 太刀川 史郎 2013