シャンプー


 人間は毎日お風呂に入らないと体が痒くなります。お風呂に入らないと、髪の毛はフケが出たり、ベタベタして気持ちが悪くなるでしょう。動物も同じです。お風呂に入るのは毎日では多いけど、ブラッシングをしたり、体を拭いてもらって、さっぱりしたいのです。

 ただ、動物の被毛と皮膚はとてもデリケートなので、丁寧に扱わなくてはなりません。ウールのセーターを丁寧に扱うのと同じようなもので、注意点がいくつかあります。シャンプーにはいろいろなタイプがあり、それぞれ目的が違います。もちろん人間用のシャンプーは、赤ちゃん用も含めて、使用しない方がよいでしょう。お店のペットコーナーで売られている市販のシャンプーは汚れを1回で落とせるよう、強いシャンプーが多いので、皮膚病があるようなときは注意しましょう。特にノミ取り成分が配合してあるものや、薬用と書いてあるものは注意事項をよく読んで、わからなければ獣医師に相談してから使用しましょう。


5-1.長毛タイプ


5-1-1.サラサラしている:シルキー・ヘアー

(アイリッシュ・セッター、ヨークシャ・テリア、ロングコート・ダックスフント、ロングコート・チワワ)

洗う前に丁寧にブラッシングをし、毛のほつれや毛玉を取り除きます。ブラッシングが終わったら、ぬるま湯で首から下をよく濡らします。シャンプーは低アレルギー性で脱脂作用の少ないものを使用します。リンス成分が含まれているものが使いやすいでしょう。シャンプーを手に取り少し揉んでから体につけます。シャンプーを直接つけてはいけません。ゴシゴシ洗うと毛がチリチリになってゴワゴワになってしまいます。丁寧にもみ洗いしましょう。顔は、目と耳にシャンプーが入らないように十分に気をつけながら洗います。嫌がるようならタオルに薄くシャンプーをしみこませ、軽くこすり洗いをします。洗い終わったら、ぬるま湯でシャンプーを十分に落とします。特に首の下、脇の下、内股はシャンプーが残りやすいので念入りに。すすぎ終わったらタオルで水気をよく拭き取ります。ドライヤーは体から離して、動物が熱く感じないよう、ドライヤーと皮膚の間に自分の手を当てながら乾かします。ある程度乾いたら、櫛で毛を起こすようにドライヤーを当てると、毛の根元を乾かすことができます。


5-1-2.シットリしている:モイスチャー・ヘアー

(アフガン・ハウンド、イングリッシュ・セッター、オールドイングリッシュ・シープドッグ、キャバリア、ゴードン・セッター、コッカー・スパニエル、ゴールデン・レトリーバー、サモエド、シーズー、シェットランド・シープドック:シェルティ、スピッツ、チベタン・マスチフ、パピヨン、バーニーズ・マウンテンドッグ、ピレニアン・マウンテンドッグ、ビション・フリーゼ、フラットコーテッド・レトリーバー、ボルゾイ、ボーダー・コリー、マルチーズ、ラサ・アプソ、ラフ・コリー)

洗う前に丁寧にブラッシングをし、毛のほつれや毛玉を取り除きます。ブラッシングが終わったら、ぬるま湯で首から下をよく濡らします。シャンプーはフケがよく落ちるように脱脂成分が含まれているものを選択します。シャンプーを皮膚に直接つけてはいけません。シャンプーを手に取り少し揉んでから体につけます。泡だったシャンプーが毛になじんだら、ノミとり櫛などの目の細かい櫛で毛をすき、毛にまとわりついているフケやホコリを丁寧にとります。ただし、櫛で皮膚をこすりすぎてはいけません。赤くただれてしまいます。顔は、目と耳にシャンプーが入らないように十分に気をつけながら洗います。洗い終わったら、シャンプーはぬるま湯で十分にそそぎ落とします。特に首の下、脇の下、内股はシャンプーが残りやすいので念入りに。すすぎ終わったらタオルで水気をよく拭き取ります。ドライヤーは少し体から離して動物が熱く感じないよう、必ず手を当てながら乾かします。


5-2.密毛タイプ

(秋田犬、アラスカン・マラミュート、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ウェルシュ・コーギー、エアデール・テリア、甲斐犬、ケアンテリア、柴犬、シベリアン・ハスキー、シェパード、スコティッシュテリア、フォックス・テリア、スタンダード・プードル、ベドリントン・テリア、ポメラニアン、ミニチュア・シュナウザー、ワイアーヘアード・ミニチュア・ダックスフント)

被毛が厚く密生し、飾り毛が豊富、冬にはアンダーコートがたっぷりと生え二重毛となる犬種です。洗う前によくブラッシングをし、毛のほつれや毛玉をすいておきます。まず、ぬるま湯で首から下をよく濡らします。シャンプーは角質溶解作用と、脱脂作用があるシャンプーを使用します。毛が密で深いため、毛の根本までシャンプーが浸透するまで全身をよくもみ洗いします。泡だったシャンプーが毛になじんだら、普通の櫛で毛をすき、毛にまとわりついているフケやホコリをとります。櫛で皮膚をこすりすぎてはいけません。赤くただれてしまいます。顔は、目と耳にシャンプーが入らないように気をつけながら洗います。洗い終わったら、シャンプーはぬるま湯で十分にそそぎ落とします。特に首の下、脇の下、内股はシャンプーが残りやすいので念入りに。すすぎ終わったらタオルで水気をよく拭き取ります。ドライヤーは少し体から離して動物が熱く感じないよう、必ず手を当てながら乾かします。櫛あるいはスリッカーを使用しながら乾かすときれいに仕上がります。


5-3.短毛タイプ

普段はドライだが、興奮すると汗っぽくなる

(グレイハウンド、グレート・デーン、スムース・ダックスフント、ダルメシアン、チワワ、土佐、ドーベルマン、パグ、バセット・ハウンド、ピット・ブル・テリア、ビーグル、ブル・ドッグ、ポインター、ボストンテリア、マスティフ、ミニチュア・ピンシャー、ボクサー、ラブラドール・レトリーバー、ワイマラナー)

シャンプーは低アレルギー性で、脱脂作用の比較的弱いものを選択します。シャンプーを皮膚に直接つけてはいけません。シャンプーを手に取り少し揉んでから体につけます。皮膚を揉むようにシャンプーを皮膚に刷り込みます。顔は、目と耳にシャンプーが入らないように気をつけながら洗います。洗い終わったら、シャンプーはぬるま湯で十分にそそぎ落とします。特に首の下、脇の下、内股はシャンプーが残りやすいので念入りに。すすぎ終わったらタオルで水気をよく拭き取ります。ドライヤーは少し体から離して動物が熱く感じないよう、必ず手を当てながら乾かします。


5-4.皮膚病があるときのシャンプー

薬用シャンプーを使用します。薬用シャンプーには抗菌剤入り、抗カビ剤入り、殺ノミ剤入り、硫黄入り、サルファサリチル酸入り、タール入りなど様々です。皮膚の状態で薬用シャンプーがちがいますので、必ず獣医師に診察してもらいましょう。皮膚病で来院するときはシャンプーせずにそのままの状態を診てもらうのがよいでしょう。市販の薬や他の病院からもらった薬を使っていたら、持っていってみてもらいましょう。

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